PROJECT STORY 01

水編
衛生的な都市環境を守るため、
私たちに貢献できることがある。
若手メンバーが結束した、
下水処理場でのポンプ設備改良工事。
MISSION

ある自治体から下水処理場における汚泥ポンプ設備改良工事に関して、第一テクノに対し技術的な照会がなされた。下水処理場は、下水を浄化して川に放流する施設。汚泥を池に沈降させたり、微生物を活性化してタンク内で反応させたりするが、これらの工程で水を移動させるためにポンプが使われている。今回の案件は老朽化により既設の大型ポンプを新しいものに替えるものだった。
技術照会があると、その後、なんらかのビジネスに発展することが多い。この案件でも、大型ポンプ数台を更新し、それに伴う配管工事、ポンプを制御する盤の更新について入札が行われることになった。金額は数億円となる大型のもの。早速、プロジェクトチームが編成され受注に成功、竣工に向けて力強く動き出した--。

*学生の皆さんに第一テクノの仕事をわかりやすくお伝えするため、一部、フィクションが含まれています。

PROJECT MEMBER
  • 佐野 隆一
    RYUICHI SANO
    インフラシステム部 営業担当
    2006年入社
    水処理施設の施工管理を経て、
    現在は営業を担当。
  • 柳川 尚樹
    NAOKI YANAGAWA
    インフラシステム部 設計担当
    2018年入社
    中途入社し、即戦力として
    プラント設計を担当。
  • 田中 初典
    MOTONORI TANAKA
    電気計装部 電気設計担当
    2017年入社
    入社以来、
    電気制御を行う盤の設計を担当。
  • 阿部 正明
    MASAAKI ABE
    インフラシステム部 施工管理担当
    2015年入社
    入社以来、
    水処理施設の施工管理を担当。
EPISODE 01
あちこちから
「よしっ!」という
声が飛んだ

 自治体によって仕組みは異なるが、今回の大型案件では、下水処理場の職員が基本設計を行うにあたり、第一テクノに対して技術照会と呼ばれる問い合わせをしてきた。過去に実績のある会社に対して、こうした照会が行われることが多い。
 第一テクノにとって、これはビジネスチャンスの到来を意味する。近々、入札が行われる公算が大きいとわかるからだ。
「こんな工事を考えているが、どんな性能のポンプが適しているか、何台用意すれば求める機能を発揮できるのか、といった内容の問い合わせでした」
 営業担当の佐野隆一は、こう説明する。
 ただ、技術照会は複数の会社に対して行われることもあるので、照会を受けたからといって、それで受注が決まるわけではない。今回の案件では、入札金額の上限と下限が決められ、その範囲内で金額勝負が行われることになった。
 佐野はすぐにプロジェクトメンバーを選定、プラント設計は柳川尚樹、電気設計は田中初典、施工管理は阿部正明が中心となって対応することが決まった。最年長の佐野は36歳だが、その他のメンバーはいずれも20代後半から30代前半の若手メンバーである。大型案件ではあるものの、若手に貴重な経験を積んでほしいという第一テクノらしい人選だった。メンバーで相談して原価を積み上げ、最終的に佐野が取りまとめて応札した。
 開札結果はweb上で公開される。佐野たちは結果発表を待って、朝9時からパソコンの前に陣取っているが、なかなか発表がない。ジリジリして待つこと30分。ようやく佐野が画面上に第一テクノ受注を示す表示を見つけた。
「決まったぞ!」
 佐野が思わず大声を上げると、オフィスのあちこちから「よしっ!」という声が飛んだ。大型の水処理案件が、いよいよ動き出すことになった。

EPISODE 02
現状をヒアリングし、
最適の計画を立てる

 自治体からは仕様書が示された。プラント設計を担当する柳川は、この書類を徹底的に読み込むところから仕事を始め、施工管理担当の阿部に声をかけた。
「今度、設計打ち合わせがあるので、一緒に現場を見に行ってくれませんか。電気設計の田中さんにはもう声をかけてあるので」
「もちろん行きますよ。既設のポンプの状況や設置スペース、配管ルートを確認しないといけませんから」
 設計打ち合わせには、営業の佐野も同席した。この場で発注者である自治体の設計担当と仕様について読み合わせを行うとともに、機器更新の目的や背景についてもヒアリングする。
「じつはポンプの老朽化が著しく、よく故障して止まってしまうので困っていました。このままでは近い将来、水処理ができなくなってしまう心配があったのです」
 自治体の設計担当者からは、今回の案件発注にあたっての事情が語られた。こうした背景を知ったうえで、最適な機器選定や工事計画を立てるのも第一テクノに求められている役割である。
 こうして現場に足を運び状況を確認する一方、柳川は仕様に合わせたポンプ機器の選定に入った。今回の案件は第一テクノが元請けとなるので、メーカーにとらわれることなく最適の機器を選定することになる。その後、機器と配管について図面を用意し、仕様と突き合わせて、間違いがないか点検作業を行った。
 また、電気設計を担当する田中に対しては、使用するポンプ機器のスペックを伝えた。この機器の性能によって、必要とする電力も変わってくるので、電気設計にとっては重要な情報になる。
「私は中途入社で、前職では強度計算や配管の部材選定などを担当していました。第一テクノ入社後、初めて水処理関係の設計業務を担当していますが、自分の設計したものが現場に設置されることに喜びがあります。前職より関わる範囲が広く、裁量を与えられるので、のびのびと仕事ができて楽しい」と柳川は話す。

EPISODE 03
様々な視点を設計に
反映させた制御盤製作

電気設計の田中の役割は、ポンプの稼働を制御する盤の設計である。
「これまで、どんなトラブルがありましたか」
 設計打ち合わせで田中は、こんな質問をした。新しいポンプを稼働させるにあたって、同じトラブルが起こらないようにするためには、既設のポンプの稼働状況について詳しく聞き出す必要があるからだ。また、仕様が既設のものと変わっている点もポイントになる。なぜ仕様を変えたのか、そこになんらかの意味が込められているはずで、新しい盤を設計するにあたっては、その点も確認しておく必要があるのだ。
 このような情報を収集したのち、田中は盤の設計・製作に入ったが、この案件では、制御盤の品質を保証するために、検査書類や試運転計画書の作成も併せて必要であった。
「今度、制御盤の試作品が出来上がるので、検査に来ていただくように手配してもらえませんか」
 田中は営業担当の佐野にこう声をかけた。発注者である自治体の担当者に工場まで来てもらい、仕様通りの性能が発揮できるのか、検査をしてもらうのだ。
 こうした工程を経て、制御盤が完成し、施工現場へと搬入されることになったが、今回の制御盤は大きく、そのままでは現場に搬入することができないため、予め先輩からアドバイスをもらい、分割して搬入して現地で組み立てができるように設計した。
「制御盤で大切なのは、1本1本の配線を間違いなく行うこと。配線ミスがあると試運転でポンプが予定通り動かなくなります。その時になってじつは配線が1本ずれていた、ということが発覚するわけです。ほんの小さなことでも、影響は大きいのがこの世界。品質保証の書類作成では苦労しましたが、発注側も水処理の重要性を感じているということ。この仕事を通じて、改めて自分たちの仕事の社会における意義を考えました」と田中は話す。

EPISODE 04
酸素濃度の測定を
毎日行うなど、
作業の安全を最優先

施工管理を担当する阿部の仕事は、実際に工事を行う協力会社を選定し、工事費用を見積り、工程表を作成することにある。協力会社の担当者とともに現場に足を運び、工事費用の見積りを依頼する。
「協力会社から見積りが出てきたので、佐野さん、一緒にチェックしてもらえませんか」 阿部は佐野に声をかけ、一緒になって金額の妥当性をチェックした。
「ここ、高すぎないか」
「いえ、これは難しい工事であることと、この時期、技術者が集まらないらしいですよ」
 こんな会話を繰り返しながら、工事費用を詰めるとともに、同時並行で工程表を作成していく。
工事開始前には工事事務所を設置する。工事が始まったあとは、品質、工程、そして安全を管理する。
「この工事では、発注元の自治体側から酸素濃度の測定を毎日行うように求められました。下水関係の施設では、ガスの発生に気をつける必要があり、協力会社の技術者が安全に働く環境を整備するのは、施工管理の重要な仕事の一つです」と阿部は説明する。
 工事はまもなく竣工を迎える。機械設備が正しく稼働することがもちろん重要なのだが、もう一つ、第一テクノにとって重要なことがある。それは工事後に示される工事評点である。
「今回の入札では関係なかったのですが、入札の方式によっては、過去の技術評点の点数によって、順位が入れ替わることがあるのです。よい評点を得て、次の仕事に繋げたいという気持ちは、ブロジェクトメンバー全員に共通しています」
 営業担当の佐野は、メンバーの気持ちを代弁したうえで、こう続けた。
「水の浄化は、衛生的な都市環境を守るために極めて重要な施設です。私たちがその一端を担っていることは、メンバー全員のやりがいになっていると思います」